退避と児童の校庭活動の基準が同じ??

政府が、住民の生活を考慮し、退避基準を再検討している。
従来の年間放射線量が1ミリ・シーベルトであるということを考えると、精算20ミリ・シーベルトは甘いが、これまで高濃度であるに関わらず退避勧告が出ていなかったことを鑑みると、一歩かもしれなない。

安全委が見解、地域指定見直しへ
内閣府原子力安全委員会は6日、東電福島第一原発から20〜30キロ・メートル圏内や30キロ・メートル以遠でも、被曝(ひばく)放射線の積算値が20ミリ・シーベルト程度に達する可能性が出た場合に、避難地域とすることが望ましいとする見解を示した。
 同心円状に一律に定めていた屋内退避などの基準を改め、放射線量の積算値をもとに細かく避難地域を選定する。
 安全委が定める原子力防災指針では、放射線量の積算が10〜50ミリ・シーベルトで屋内退避、50ミリ・シーベルトを超えると避難の対象になる。現在、同原発から20〜30キロ・メートル圏内は屋内退避地域に指定されている。しかし、原発の北西では30キロ・メートル以遠でも高い放射線量が測定されるなど、場所によって放射線量が大きく違い、屋内退避の長期化で生活に不便が強いられることから、枝野官房長官は3日、避難地域の指定を見直す考えを示していた。
 記者会見で代谷誠治委員は「屋内退避は数日程度を想定したもの。生活のことを考えると、長期化が見込まれる場合は避難した方が望ましいので、判断基準の目安を20ミリ・シーベルトに設定した」と説明した。
(2011年4月7日 読売新聞)
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=39210

他方、法令に従い、福島県内の校庭の放射線量が測定され、発表された。
各小学校のデータも、福島県のホームぺじで公表されている。
http://www.pref.fukushima.jp/j/schoolmonitamatome.pdf

校庭の放射線量、1648か所の速報値発表
読売新聞 4月8日(金)21時22分配信
 東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、小中学校や幼稚園などの校庭で放射線量を測定してきた福島県は8日、全1648か所の速報値を発表した。
 最も高かったのは、浪江町の津島小学校で毎時23・0マイクロ・シーベルトだった。県は、結果を基に子供たちの屋外活動の可否を判断する方針だが、現状では基準がないため、国に基準を示すよう求めている。
 発表によると、5〜7日、子供の屋外での活動を想定して地面から高さ1メートルの地点で測定し、浪江町の3か所で同23・0〜18・8マイクロ・シーベルト飯舘村の7か所で同14・0〜8・3マイクロ・シーベルトとなった。これら10か所のうち9か所は子供が避難して現在は使用されていない。残る1か所の保育所は子供がいるが、屋外での活動を控えており、県生活環境部では「当面は問題はない」と説明。このほかの市町村については「直ちに健康に影響するレベルではない」としている。
 測定は、福島第一原発から半径20キロ圏内の4町を除く55市町村の全ての小中学校と幼稚園、保育所、特別支援学校の校庭・園庭などで実施した。一般の人が自然界以外で浴びてもよいとされる年間許容量は1000マイクロ・シーベルト
最終更新:4月8日(金)21時22分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110408-00000929-yom-soci

上記記事でも明示してあるように、一般人の年間許容量は、1ミリ・シーベルト(1000マイクロ・シーベルト)である。
しかし、驚いたことに、文部科学省原子力安全委員会が、児童生徒の年間被曝許容量を20ミリ・シーベルトとして、屋外活動の実施可否について基準を算定するという。

校庭活動に放射線基準…文科省福島県に提示へ
文部科学省は、校庭など、幼稚園や学校の屋外で子供が活動する際の放射線量の基準を近く福島県に示す方針を固めた。
 同県内では、一部の学校で比較的高い濃度の放射線量や放射性物質が検出されており、体育など屋外活動の実施可否について早期に基準を示す必要があると判断した。
 同省などによると、基準は、児童生徒の年間被曝(ひばく)許容量を20ミリ・シーベルト(2万マイクロ・シーベルト)として、一般的な校庭の使用時間などを勘案して算定する方針。原子力安全委員会の助言を得た上で、大気中の線量基準などを同県に示す。基準を超えた場合、校庭を使用禁止にし、授業を屋内だけに限るなどの措置をとる案も出ている。
(2011年4月10日03時19分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110409-OYT1T00912.htmhttp://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=39210

一般人の退避勧告を積算する基準と、児童の屋外活動の基準がなぜ同じ20ミリ・シーベルトなのか?
積算と年間という違いはあるものの、そのような水準であるとすれば、児童の屋外活動どころか、全住民が避難すべき状態なのではないだろうか。
一般人の退避勧告については速やかに拡大するとともに、大人より影響を受けやすい児童の健康を考慮し、せめてこれまでの大人の一般人の年間1ミリ・シーベルトという基準を遵守してほしい。